ヒメアオキ(アオキ科(旧ミズキ科) アオキ属)
姫青木 Aucuba japonica var. borealis
谷間の散策路の暗く湿ったところに多く見られる、雌雄異株の常緑低木です。
北海道南部、本州の日本海側に分布しているものをヒメオアオキといって、
アオキの変種として扱うことがあり、ここではその考えによっています。
広義のアオキとしておけば良いのかもしれませんが、
関東・東海地方のアオキとは、やはり違うように思えるのです。
かといって、近畿以西のものは富山県産とは違うようにも同じようにも思えます。
命名者のツンベルグ先生のタイプ標本が「日本」とだけなっているようで、
そのものがどのタイプを指しているかがよくわからないので、当面ヒメアオキとしておきます。
広い意味でのアオキは、北海道から九州、沖縄、朝鮮半島に分布しています。
関東地方のアオキを見た人は、きっと「大きい葉っぱだなあ」と思うのではないでしょうか。
アオキに比べ小ぶりなことから頭にヒメと名がついたのですが、富山県内でも広めの葉もあり、区別しない考え方あるでしょう。
日本海側のものは、深い雪に逆らうことなく幹が曲がって雪解けを待っています。
学名は、Aucuba japonica(アオキバという青森の地方名が訛ったものが属名となった)がアオキで、
ヒメアオキは、var.borealis(北の変種)という変種学名が続きます。
この変種レベルの発表は日本の先生方が行っており、これは、関東地方のものとの違いで区別したと思われるので、
この考えに従って置くことにしました。
アオキに雌花と雄花があるのは、日本人なら良く知っています。
昔、日本からヨローッパにアオキの赤い実の株だけを持ち帰り、それからいつまでたっても実がつかないので初めて雌雄異株ということが分かり、雄株に高い値段が付いたという話があります。最初に日本から持ち帰ったその人は、あのシーボルト先生でした。
その後イギリスのフォーチュンというプラントハンターが雄株を持ち帰り、この日本固有種は、にヨーロッパのお庭でも一般的な木となったとのことです。
2004年4月3日 雌花 真ん中にめしべが一つです。
2004年4月3日 雄花 4個の黄色いおしべが目だっていますネ。
2003年12月13日 若い実の様子 もう少しで赤く熟します。
低い木ながら、赤くなった実は森の中でとても目立ちます。