ショウジョウバカマ (シュロソウ科(旧ユリ科) ショウジョウバカマ属)
猩々袴 Helonias orientalis
散策路のあちこちで見られる多年草です。
北海道、本州、四国、九州の丘陵〜山地のやや湿った林内などに分布しています。
早春にいち早く顔を見せてくれるので、春がきたぞと心をうきうきさせてくれる花ですね。
ロゼットが残っていて、いち早く光合成を始めます。そして花が咲くとよこから新しい葉が出てきます。
漢字では「猩々袴」で、猩々(中国の空想・伝説上の猿の一種)のような赤い花と青い葉を袴に例えたものなのだそうです。
ショウジョウバカマの特に面白いところは、夏から秋に、葉先から芽を出して新しい個体を作っていくことです。
これを栄養体生殖、栄養繁殖といいますが、難しい言葉はどうでもいいのです。こんな増え方もあるんだなあ!というところが大事なのですから。
カラスウリなんかは、ツルの先に「イモ」をつけて個体を増やす方法も持っていますが、これもちょっとだけ親植物から遠いところに新しい個体を増やしていくのです。多年草ですから、離れてくれないと親の方が困るのですネ。
でも反面、親自身が生育によさそうだから自分のコピーを近くで殖やしているともいえるでしょう。
花が終わると背丈が高くなり、お皿のようなところに細い細い糸のような種子が乗っています。
この種子は、自家受粉をさける工夫をしているので遺伝的な多様性が高いと言えます(必ずしも他家受粉とは限りませんが)
背を高くして、すこしでも風に乗って遠くの新天地を求めていくのです。
2003年3月22日 にょきっと雌しべが突き出ています。この時期は雌性期なのです。
2002年3月24日 花が開いたときには雌しべの時期は終り雄性期に入っています。
2020年4月9日
葉先から出た目が根付いて結構大きくなっています。
2003年12月13日
葉先に芽が出ています。これはもう大きくなって、根がはっていますが、まだ葉先とはくっついています。
左側にもう葉先から取れてしまった、芽が見えます。
2021年5月20日 果実(裂開間近)
2020年5月21日茎が約60cmと高くなり種子が少しでも遠くへ飛んでいきやすくなっています。
果実が割れて両端に糸がついた種子が見えます。これで風に乗っていくのです。
2021年5月13日 種子の拡大 種子の本体は2mm弱で、両端に2〜3mmに付属体がついています。
これで風に飛ばされやすくなっているのだと推測しています。