スギ (ヒノキ科(旧スギ科) スギ属)
 Cryptomeria japonic

展示館前の谷からしたの方などで見られる常緑高木です。葉は針形でらせん状に配列しています。
本州、四国、九州(屋久島まで)の沢沿い、谷筋、岩上、湿原などに分布している、日本固有の裸子植物です。

杉というと、富山では立山杉を思い出す人も多いと思います。実際地域的な品種も多く吉野杉、秋田杉などいろいろな名前がついていますね。
でも、スギはスギなんです。日本海側のものはアシウスギという変種になります。
このねいの里の一帯では、コナラを中心とした薪炭材利用が主たるものでしたが、一部には杉の植林も行われていたと思われます。
ですので、広義「スギ」としておきます。

また、スギは花粉症の原因の一つといわれ、嫌われることもあります。
花粉症の原因がスギ花粉だけとは限りませんし、そもそも悪いのはスギ自身ではありません。
戦後、スギの植林が一斉に行われた上に、木材の輸入が盛んになり枝打ちなどの管理がなされないようになったため、さらに散布花粉量が増えたのだなどと言われています。

さて、杉林について皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか?
暗い、ジメジメ、低木などの無い空間。。。そんな印象をお持ちの方いらっしゃらないでしょうか。
間伐も枝打ちも何の手入れもされていない杉林では、木の密度が高くて暗く、下には杉の枝葉が多いため、そんな印象を持つのでしょう。

しかし、適度に間伐さえしてやれば、もともと成木になると樹形も三角形ではなくなり陽光が差し込む樹形となります。
葉が針状の螺旋構造のため表土が大雨に洗い流されてしまうこともなく、また、ヒノキやカラマツに比べれば分解しやすいため適度に栄養分の補給もしてくれるのです。
これがヒノキ林になると、林床が暗く、かつ、表土が剥き出しになっていて他の植物は育たないのです。(ヒノキの葉は分解しにくく、また、うろこ状に分離し大雨で流されてしまうのです。)

もともと、杉は他の植物との共存が可能な種であり、縄文後期の杉林はきっと混交林だったとの説も有力です。
そして林床植物も多く、生物多様性は高かったのではないかと思います。

よく整備された人工的な杉林の林床に、早春植物であるオオミスミソウ(富山ではユキワリソウと呼んでいます)がポツリ、ぽつりとみられることもあります。


2004年12月12日 若い雄花(厳密には花とは言いませんが)




2004年12月12日 若い雌花の様子



2003年3月13日 スギの立ち姿


2004年3月13日 スギの葉