チゴユリ (チゴユリ科(旧ユリ科) チゴユリ属)
稚児百合 Disporum smilacinum
散策路や吉住釜でよく見られる、高さ20〜30cmの多年草(擬似一年草)です。
本州、四国、九州の落葉樹林内に分布しています。
うつむいたしおらしい花姿を稚児行列の稚児に例えたとのことです。
花は4月から5月。茎頂に1つまたは2つの花をうつむきに咲かせます。
花の中を覗いてみると、雌しべの先(花柱)が反り返っていました。
液果は初め緑色でじっくりと秋に黒熟しますが、照葉樹が増えて日当たりが悪くなると果実が稔らないようです。
というより、もともと種子の生産事態が低いのではと思わせます。
では、暗めの散策路に多いこのチゴユリはどうやって繁殖しているのでしょう。
実は、この仲間は種子でも増えますが、むしろ栄養繁殖の方が一般的なのです。
大きい個体では走出枝を複数伸ばして、先っぽの方でひとつひとつが別の個体になっていくのです。
ただ、元の部分は枯れてしまい、多年草とは言いながらも一年草的でもあります。
こういう植物を「擬似一年草」というようです。トリカブトの仲間もそうですね。
このようにして、どんどん個体数を増やしているのです。
植物の戦略はほんといろいろありますね。
2004年4月24日 吉住釜の付近で。