北海道大学と鳥インフルエンザに関する共同研究を行いました。
富山県鳥獣保護センターでは令和6年に、高病原性鳥インフルエンザから希少野鳥を守る取り組みとして、北海道大学大学院獣医学研究院微生物学教室と共同で、ハヤブサ2羽への投薬試験を実施しました。
近年日本では、高病原性鳥インフルエンザが流行しており、多くの希少な野鳥へのウイルス感染が報告されています。北海道大学の研究グループは、ヒト用インフルエンザ治療薬であるバロキサビル マルボキシルが、鳥インフルエンザウイルス感染においてもその発症を防ぐ効果があることを、ニワトリでの実験で実証しています。しかし、鳥種によっては、防御効果に十分な薬の血中濃度を維持するために、より多い投与量が必要となることも判明しています。
そこで今回の試験ではハヤブサに対する適切な用法用量の確立を目指しました。実施に際しては鳥への負担が最小限になるように配慮しており、投薬による個体の健康状態への影響がないことも確認しています。
この取り組みには、当施設に加え複数の動物園や動物保護施設が協力し、これまでに計7種の希少鳥類を対象とした試験を実施しています。この成果は、動物園や保護施設における鳥インフルエンザ対策の新たな選択肢として期待されます。
なお、これらの成果は第30回日本野生動物医学会大会(令和6年12月)で発表され、最優秀口頭発表賞を受賞しました。